第2話 命より重き安定と収入

結婚して早5年 子供ができて2年 となり思うところはやはり仕事頑張って 育児も頑張って ということになるがこの仕事が嫌になってしまったからにはどうしようもない。 こうなるとダメダメお父さん誕生となり家庭にとって最悪な状態になる。早く手を打たないと… とは思い頑張りはするけれど道筋すら見えていないのが現状である。

 

毎週月曜日に発行されるタウンワークはかなりの数にのぼっていた。これが捨てられない。なぜなら在宅ワークというものに強い憧れがあるからだ。ネットなどでも数々紹介されているが掲載料まで払ってでもやってもらいたいという在宅ワークはそうないのでは??と考えるからである。

 

 会社を経営してる友人は

 

「銀行の借り入れが限度額いっぱいだよ~ 月頭はだいぶ楽なんだけどね」

 

なんといって笑っていたがつらいだろうという反面羨ましく思っていた。少ないながら友人はいるがさらに何人かは家を継いでしっかりやっている。その熱意と覚悟が私には羨ましかった。 -安定と収入 その2種の言葉は私の命より重い。そう思わずにはいられなかった。今の会社だって悪い会社ではなく、むしろいい会社ではないだろうかとも思う。それが私を圧迫してしまう。親切なお客さん 見守ってくれる上司 それがあれば続けるには十分ではないかと

 

 もう業(ごう)というより他はない。どんなに状況がいいにしろ書き そして 作り 誰かの役に立ちたい その評価により金銭が発生する それがしたいと思ってしまってはあきらめようなどないのだ。宿命といっても差し支えない これができなかったら死んでもいい。なんて思ったところで子供と嫁を養う責任があるためそうも言っていられない。現状打破は厳しく思い悩む日々は続く が答えなど決まっている…

 

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  こんな時はいつも決まってばぁちゃんに話に行く。私のばぁちゃんはもう八十三歳 いつも元気に話してくれてる。

 

「難しい事はそうなってから考えろ」

「屋根のある場所で仕事できるのはいい事だ」

 

などなぜか心に入ってしまう言葉がある。こればかりは嫁さんの話が全然入ってこないのに何故だか納得させられてしまう。これは年の功なのだろうか?いつかそう遠くない未来にばぁちゃんは亡くなってしまう。今は話を聞けるだけ聞きたいと思い、実家に帰った。

 

 ばぁちゃんは寝ていた。そのまま帰ろうと思ったがふと目を覚まし、おお っと眠たげなあいさつをする。

「でかい梨持ってけ」

起き抜けの一発目からあげる話だった。前から自分にあげようと決めていたのだろう 見ると本当に大きな梨だった。

 

「カレンダー見てみろ おらぁは死ぬかと思ったよ」

 

ばぁちゃんは自分を男のように呼ぶ。見ると赤い罰点が一週間ほど並んでいた。

 

「一週間ずっとピーピーだったよ」

 

どうやらずっと下痢してしまったらしい。こういう所が少し悪い点かなとは思う。話に勢いがついて大きくなってしまう。本人はまったく自覚していないが、気風のいい性格なのでそうなってしまうのだろう。 なんてことない雑談の中不意に家の立派な柱にきずく。いつもそこにあったのに関心がなかった為だ。

 

「あれはモミジの木だ この家建てんのに今じゃ四千万~五千万かかるぞ」

 

ほんとうかどうかいいとして、よく見ればいい家だなぁっと思う。木がよく使われていてなんだかどっしりとしている。昔はここで遊んだり怒られたりしたものだ。じいちゃんは先に亡くなったがお金はいっぱい残してくれたらしい。私はほんのりこの実家を継ぎたいと話すが… 前々から反対されている。

 

「まぁ子供だって高校生ぐらいになれば お父さんキモイ!! お風呂後にして!! なんて言われる 嫁になっていったら後はいらなくなっちまうんだよ そうなったらここに帰ってくればいい」

 

わたしは思った。帰ってきてほしいのだと… それになんとなく心温まった。私には場所がある。たったそれだけで生きていくには十分だった。

 

 

 

 

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